歴史への興味を引き出すための様々な工夫をこらしています
東日本大震災で示された地球規模の長い時間の流れと,人間の営みという短い時間の繰り返し,両者の冷厳な接点を実感した現在,歴史はより身近なものとなったのではないでしょうか。過去の事実や人々の知恵から何を学ぶかが,将来を予測し,未来をより良くするために重要だと気付いた人も多いでしょう。
また,グローバル化し,文化面でも一元化が進む現在,様々な地域の異なる歴史を学ぶことが,多元的で多様な文化の存在を理解するために役立ちます。日本史を学ぶ意味はそうした点にもあるでしょう。
『新日本史』では,歴史研究の最新の成果を生かしながら,各時代を一人の執筆者が担当するという特徴をさらに生かし,それぞれ個性的な叙述のなかに,歴史への興味を引き出すための様々な工夫をこらしています。この教科書が,知識の獲得だけではなく,出来事の背景や連関などを考える歴史的思考を育てるために活用されることを願っています。