《山川歴史モノグラフ》41.唐帝国の統治体制と「羈縻 」 『新唐書』の再検討を手掛かりに

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5,500円 (税込)
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解説: 唐の統治体制を説明する際の基本知識である「羈縻」について、唐代史研究の基本史料である宋代成立の『新唐書』への詳細な分析を主軸に再検討をおこない、唐代当時の「羈縻」概念の解明を試みた。
「羈縻政策」は、帰順してきた異民族に対して緩やかな間接支配をおこなうという、唐帝国の統治体制の特徴として、学界で一般化している知識である。本書では、この理解の根拠となっている『新唐書』の記事が、後世の書き下ろしである可能性を指摘し、常識化してきた「羈縻」の語義を漢代~唐代の用例に即して修正したうえで、「羈縻州」治下の異民族であると捉えられてきた「蕃人」が、実際には唐の内部にしっかりと組み込まれ、一般住民を意味する「百姓」として扱われていたことを論じた。
ISBN:
978-4-634-67396-0
シリーズ: 山川歴史モノグラフ 41
著者: 西田祐子 
刊行:
2022年4月
仕様: A5  ・  288ページ
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目次:
序 章 〈唐の秩序〉再構築への試み
 1 『新唐書』について
 2 「羈縻」について
 3 〝羈縻〟支配のケーススタディと〈蕃兵〉〈蕃将〉
 4 テュルク系遊牧民集団について
 5 本書の課題と射程
第一章 『新唐書』の再検討――回鶻伝を手掛かりに
 1 『新唐書』回鶻伝をめぐるこれまでの研究
 2 『新唐書』回鶻伝前半の基礎的分析
 3 『新唐書』編者による恣意的な編纂
 4 一見わかりにくい『新唐書』編者による史料加工
 5 回鶻伝から見た『新唐書』編者の編纂方針

第二章 『新唐書』の編纂における問題――武則天期〈鉄勒四部の南徙〉を手掛かりに
 1 〈鉄勒四部の南徙〉をめぐるこれまでの諸見解
 2 〈鉄勒四部の南徙〉を示す三史料
 3 『旧唐書』『唐会要』をもとにした『新唐書』編者による恣意的な加工

第三章 『新唐書』地理志の編纂と〝羈縻州〟条
 1 『新唐書』〝羈縻州〟条にひそむ問題
 2 『新唐書』『旧唐書』における「羈縻」用例の比較
 3 〝羈縻州〟条は〈書き下ろし〉かいなか――〝羈縻州〟の数をめぐる恣意的な加工
 4 『新唐書』のもたらす不正確な〈唐代観〉

第四章 唐代の「羈縻」と「臣属」
 1 〝羈縻州〟を置かれた人々・集団
 2 テュルク人を対象とした〝羈縻〟の実態
 3 漢語「羈縻」概念の再検討

第五章 唐代の「蕃」
 1 〈蕃将〉とその率いる兵との関わり
 2 唐朝における側近的〈蕃将〉の位置づけ
 3 唐代の「蕃」

終 章 〈唐の秩序〉解明への手掛かりとして

あとがき