《山川歴史モノグラフ》31.胎動する国境 英領ビルマの移民問題と都市統治

価格
5,500円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: イギリス植民地統治下のビルマの首都ラングーンの都市社会に視点をすえ、移民統制にまつわる植民地行政の日常的実践が都市の人々の暮らしに及ぼした影響について考察し、その歴史像を描き出す。

第7回(2017年度)地域研究コンソーシアム賞(JCAS賞)登竜賞 
東南アジア学会 第15回 東南アジア史学会賞 受賞
ISBN:
978-4-634-67388-5
シリーズ: 山川歴史モノグラフ 31
著者: 長田紀之 
刊行:
2016年11月
仕様: A5  ・  264ページ
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目次:
序章 境界をうむ都市
 重層する空間/領域性と境界管理/移民・都市・統治/植民地都市社会像

第一章 都市複合社会の諸相

 1 植民地都市の誕生
 祈りの丘、商いの岸辺/帝国的威容を求めて/植民地経済下の発展
 2 ラングーンの住人たち
 人口統計/流動する一時滞在者/定着と混淆
 3 街区の地域性
 核心部と沿岸工業区/都市の縁辺

第二章 華人統治―追放政策の始まり

 1 都市社会における犯罪と警察
 市警の設立と街区長制度/越境する犯罪者たち
 2 海峡植民地からの制度移植
 華人街の騒擾/ピーコック報告/華人諮詢局と外国人法
 3 華人追放政策の展開
 追放の実態/政治犯の追放/政治的脅威としてのラングーン華商/「平和的浸透」の危険視

第三章 帰属を問う―インド人犯罪者の追放

 1 防犯措置の系譜
 都市の拡大と治安悪化/収監から防犯へ/茶番めいた移動制限
 2 望まれざるイギリス臣民の追放
 外国人法の限界/売春婦と物乞い
 3「非ビルマ人」とは誰か?
 貧困層統治のための追放/犯罪者追放法の射程

第四章 防疫線としての港―衛生管理と人種言説

 1 労働者集合住宅の過密問題とインド人
 「疫病の巣」/過密・不衛生・「人種的習慣」/流動する貧者と防疫
 2 海港における移民の衛生管理制度の整備
 揺らぐ統治技術/海港における強制種痘の法制化/防疫実践の恒常化
 3 標的にされる人種と階級
自己主張する中間層と声なき労働者/人種差別に抗って/科学による裁定

第五章 都市空間の遠心力―都市計画とビルマ

1 都市縁辺の人口過密間題
低湿地上の人口膨張/近代的都市空間の漸次的拡張/郊外におけるスラムの発見
2 都市計画の政策と実践
基本方針の設定/ラングーン開発トラストの誕生/庶民と地主のあいだで/ランマドーの変貌
3 ビルマ人都市住民の一九二〇年代
開発トラストヘ寄せる期待/ビルマ人住民の失望/流民化から暴力の発現へ

終章 居座る境界
 移民都市と境界形成/国家的領域性の醸成/都市社会からみた国家と国民

あとがき