《日本史リブレット人》064.鶴屋南北 笑いを武器に秩序を転換する道化師

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880円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 『東海道四谷怪談』でおなじみの四世鶴屋南北は,江戸時代を代表する歌舞伎狂言作者である。身分,男と女,親と子,信仰や思考の枠組みまで、区別が厳しかった時代に,南北は,さまざまな「笑い」を駆使して,固定した秩序を転換してみせた。「笑い」を有力な武器とした南北の生きざまに学ぶ。
ISBN:
978-4-634-54864-0
シリーズ: 日本史リブレット人 64
著者: 諏訪春雄 
刊行:
2010年2月
仕様: A5変型判  ・  96ページ
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目次:
鶴屋南北の作風と時代
1.『東海道四谷怪談』の時代
  序章-浅草寺界隈/二幕目-雑司が谷四谷町/
  『東海道四谷怪談』/その後の展開/作品の成立事情/
  作者からのメッセージ 
2.南北と賤民
  南北経歴の謎/染色業は賤民扱いを受けていた/
  紺屋と青屋の関係/江戸の紺屋/歌舞伎関係者,賤民と完全絶縁
3.修行時代
  立作者になるまで/狂言作者の執筆分担/狂言作者の給料/
  出世作『天竺徳兵衛韓噺』/南北のしたたかな戦略
4.道化師南北
  四代鶴屋南北襲名/道化は笑いによって秩序を逆転させる/
  道化はシャーマン/道化精神の発揮『桜姫東文章』
5.南北の怪談劇
  二日替わりの夏狂言『彩入御伽艸』/南北劇の亡霊たち/
6.南北の生世話
  『心謎解色糸』/生世話の言葉/江戸語の成立
7.南北はわれらの同時代人
  南北の葬式/南北ベストテン/時代とともに変化した南北の評価/
  南北はわれらの同時代人  
メッセージ・あとがき:
南北は我らの同時代人!
近世は区別がきびしかった。
士農工商,被差別民などの身分秩序,男と女,親と子などの人倫,死と生,善と悪などの信仰や倫理,思考の枠組みまで賢固な区別があった。
南北は,「笑い」を武器にこの区別を突破した。
微笑,苦笑,哄笑,軽蔑の笑い,黒い笑い……さまざまな笑いを駆使して境界を超え,固定した秩序を転換してみせた道化師南北。
現代人にとっても,笑いは有力な武器。
南北こそは我らの同時代人!