近世蝦夷地在地社会の研究

価格
9,900円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 近世の蝦夷地(北海道)において、場所請負制度のもとに機能した地域社会の構造や特質を、文献史学の手法で明らかにする。研究成果をふまえ、交易や宗教などを手掛かりに実証的に分析した論集。
ISBN:
978-4-634-52042-4
著者: 谷本晃久 
刊行:
2020年3月
仕様: A5  ・  480ページ
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目次:
 序章 本書の目的と構成
  1 本書の目的――対象年代とフィールド――
  2 研究史上の位置づけ
  3 本書の構成


第Ⅰ部 近世蝦夷地の捉え方

 第1章 近世の蝦夷
  はじめに
  1 時代区分論のなかの近世の蝦夷
  2 松前藩の成立
  3 城下交易から商場知行制へ
  4 場所請負制の成立と展開
  5 「蝦夷地」の先の「異国境」
  6 抑圧のなかの成熟――近世アイヌ文化――
  おわりに

 第2章 近年の〝アイヌ史〟研究管見――近世文献史学研究を中心に――
  はじめに
  1 〝アイヌ史〟はどう語られてきたか――場所請負制の理解を例に――
  2 〝アイヌ史〟研究のさまざまな構想
  3 〝アイヌ史〟の史料論
  おわりに

 第3章 「国家」史的観点からみた近世アイヌ社会
  はじめに
  1 周辺諸「国家」からみたアイヌ社会
  2 一七世紀以降におけるアイヌ社会の形態
  おわりに――アイヌ社会に対する評価をめぐって――

 第4章 〝近世アイヌ史〟を取り巻く国際的環境
  はじめに
  1 サンクトペテルブルクの〝アイヌ史〟史・資料――史料の広がり――
  2 〝近世アイヌ史〟の基礎認識
  3 化外地と「開国」
  4 商品生産と交易
  おわりに

 第5章 北の「異国境」――幕府外交の転換とアイヌ史上の画期――
  はじめに
  1 「蝦夷」という語の意味と「蝦夷地」の先の「異国境」
  2 旧族大名による異国・異域との通交・交易
  3 北の「異国境」をめぐる経緯
  4 松前藩による安永期の「異国」認識と交易認識
  5 「蝦夷地改正」と松前藩による代替不可能性の主張
  おわりに――アイヌ史上の画期――
 
第Ⅱ部 在地社会のなかのアイヌ集団

 第6章 近世蝦夷地「場所」共同体をめぐって
  はじめに――問題の所在――
  1 「場所」の概要
  2 異文化を組み込んだ社会としての「場所」の実際
  おわりに――近代における変容――

 第7章 アイヌの「自分稼」
  はじめに――「自分稼」と収奪――
  1 場所請負制度と近世蝦夷地在地社会
  2 「自分稼」の定義とアイヌの「帰俗」・「百姓」化
  3 蝦夷地の「自分稼」と「自分取出稼」
  4 「自分稼」とアイヌ文化――むすびにかえて――

 第8章 近世アイヌの出稼サイクルとその成立過程
      ――西蝦夷地「北海岸」地域を事例として――
  はじめに
  1 モンベツ領の漁場とその規模
  2 モンベツ領アイヌの出稼サイクル
  3 交易から出稼雇へ
  おわりに

 第9章 アイヌの「自分取出稼」
      ――幕末期、西蝦夷地ソウヤ場所モンベツ領の事例――
  はじめに
  1 「出稼雇」と「自分取出稼」
  2 給与からみた「出稼雇」
  3 出稼雇の「過上」と「切手」
  4 自分取出稼の実態
  5 自分取出稼の意義と条件
  おわりに


第Ⅲ部 在地社会のなかの宗教と信仰
 第10章 宗教からみる近世蝦夷地在地社会
  はじめに
  1 「場所」の構造と特質
  2 和人集団と宗教
  3 「場所」独自の宗教儀礼の実際
  おわりに

 第11章 蝦夷三官寺と幕府の宗教政策
  はじめに
  1 蝦夷三官寺建立以前の「蝦夷地」の仏教
  2 蝦夷三官寺の建立
  3 蝦夷地第一次幕領期における幕府の宗教政策
  4 開拓政策のなかでの蝦夷三官寺の役割
  おわりに

 第12章 幕末期、蝦夷地への寺院建立と開拓政策
  はじめに
  1 近世蝦夷地の寺院の概観とその分類
  2 幕末寺院群建立の経過
  3 和人地寺院末建立の論理と開拓政策
  4 蝦夷三官寺末建立の論理と開拓政策
  5 幕末寺院群に対する箱館奉行の対応とその変化
  6 幕末寺院群の実際の活動
  おわりに

 第13章 幕末期、蝦夷地への寺院建立と在地社会
      ――西蝦夷地フルヒラ禅源寺建立と浜中集団をめぐって――
  はじめに
  1 建立願書の提出とその審理過程
  2 西蝦夷地フルヒラ場所への寺院起立をめぐって
  3 越年・永住集団と寺院起立
  おわりに

 第14章 〝鰊獲りの禰宜さん〟考――近世の蝦夷地支配と神道系宗教者――
  はじめに
  1 蝦夷地における宗教的環境
  2 公認社家の蝦夷地止住の実際
  おわりに

 終章 本書の成果と課題
  1 第Ⅰ部の論点をめぐって
  2 第Ⅱ部の論点をめぐって
  3 第Ⅲ部の論点をめぐって
  4 課題としての史料論

 あとがき

 人名索引/事項索引