幕末明治旗本困窮記 御書院番士酒依氏の日記

外国船の来航、長州征討そして大政奉還から戊辰戦争へ 激動の時代に翻弄された幕臣たちの日常を酒依氏の日記から読む
価格
2,750円 (税込)
在庫: 在庫あり
解説: 幕末動乱の時代に、武蔵国橘樹郡下菅田村に知行地をもつ幕臣の酒依氏は、御書院番士として、飯田橋に移居し、江戸城の警備にあたっていた。
天保の頃までは、世情が騒然とするも、年中行事も執り行われていた。
しかし、ペリー艦隊の来航・上陸や長州藩との戦闘が始まると次第に追い詰められ、知行地の鈴木家に身を寄せるようになり、そして帰農することとなった。
家のものは、遊郭で働きもしたり、困窮を極めた。
本書は、幕末幕臣の史料が少ない中で、偶然にも鈴木家に残された史料をもとに、当時の幕臣の暮らしを興味深く描いたものである。
ISBN:
978-4-634-15201-4
著者: 西川武臣 
刊行:
2021年6月
仕様: 四六判  ・  176ページ
このエントリーをはてなブックマークに追加
詳細をみる
目次:
はじめに

第一章 御書院番士酒依氏と知行地の村々
酒依氏の歴代当主/酒依氏の屋敷/御書院番士として/江戸城警備の中で/知行地を支配して/村に残された帳簿/酒依氏の家計を支えた年貢/幕府御触書の通達/鉄砲証文の提出

第二章 一二代当主清左衛門の日記から
天保という時代/清左衛門の家族/清左衛門の家臣たち/用人一家との軋礫/神田明神の祭りの日に/新しい用人を雇って/中間部屋での賭場の開催/女中部屋での盗難事件/上知令をめぐつて /相次ぐ農民との対立/郡内騒動が発生して/モリソン号事件の勃発/清左衛門と大塩平八郎の乱/一二代将軍が就任して/徳川家斉の死去

第三章 日々の暮らしの中で
正月を迎えて/酒依屋敷での年中行事/清左衛門の長女の結婚/郁の結納と婚礼/酒依氏と酒乱の婿/次男武之丞の死去/酒依氏ゆかりの寺院/源六郎が生まれて/屋敷への来訪者/清左衛門家の物見遊山/日記に記された食品

第四章 幕末動乱の時代の中で
ペリー艦隊の日本派遣 /御書院番頭の上申書/ペリー艦隊の衝撃/国際化が進む中で/酒依氏の知行地で/紀州藩と関係を持って/講武所の設置と幕府の軍事改革/一四代清之丞の日記から/講武所の師範役たち/知行地の農民が幕府の歩兵に/幕府と長州藩の対立/出陣する旗本たち/その後の録五郎将軍と戦死者を弔って/清之丞一家の社寺参詣/御書院番の解体/困窮する人びと/徳永氏の屋敷での捕り物/高まる軍事的な緊張

第五章 明治維新を迎えて
戊辰戦争の勃発/松山藩士が残した記録から/辻の潜伏と松山藩主の謹慎/辻が記した江戸の情勢/辻の江戸脱出/北海道での最後の戦いへ/戦乱の中での酒依氏の人びと/鈴木家に届いた手紙/農民たちの時代/鈴木家の茶園経営/牧場の経営と市街地地主への道

おわりに