分裂と統合で読む 日本中世史
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1,980円 (税込)
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解説: | 網野善彦以後の20年、「日本論」の現在と未来を考える――。 気鋭の中世史家が歴史から現代を読み解く新たな方向性を導き出す! 「じつは東西南北に広く、その国土も意外と大きい日本列島では、長い歴史のなかで豊かな地域的・文化的多様性が育まれてきた」ことを、中世史を中心に日本史全体の研究最前線からあらためて提示し、「いくつもの日本」の姿を紹介する。 さらに上記の多様性を踏まえつつ、「南北朝」「応仁の乱」など、分裂と統合を繰り返す中世史の実態から、「多様な社会を統合する」契機を提示し、国家における「分裂と統合」の普遍的な意味を探り、現代を考える手段を提示する。 |
ISBN: | 978-4-634-15179-6 |
著者: | |
刊行: |
2021年8月
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仕様: | 四六 ・ 240ページ |
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目次:
序章 日本史上もっとも複雑で曖昧だった中世と現在
我われは「分裂と統合」のはざまに生きている/日本に過去、「分裂」の時期はあったのか/赤坂憲雄と網野善彦が提唱した「多様性」/「地域史・社会史」から「国家史・全体史」へ/双方とも欠かせない「ふたつの旋律」/なぜ「中世」に注目するのか/「現代との類似性」に迫る/「統合の核」の解明
―――――
Ⅰ部「場」「地域」からみる〈いくつもの日本〉
第一章 東と西ーもっともポピュラーで根深い問題
現代でも意識される❝東西の差異❞/積みあげられてきた歴史・民俗学研究の成果/境界地域はどこにあるのか/古代の列島に衝撃をもたらした平将門の乱/鎌倉幕府の選択肢/室町期の知られざる東国世界/鎌倉府の位置づけをめぐって/日本の歴史を貫く東西論のその後
第二章 南と北―よりいっそう豊穣で、ときにカオスな場所
「東西」論から「南北」論へ/赤坂憲雄『東西/南北考』による問題提起/来訪神=「まれびと」の世界/「伝統」とは何か①「創られた伝統」という視点/「伝統」とは何か②伝統は変わらないのか?/南北に拡大していった「日本」の領域/武家政権の地方支配と御家人の移動/室町幕府と奥羽探題・九州探題/自立と服属を繰り返す「南北」の近代
第三章 内と外―時代によって揺れ動く「境界」の独自性
外の世界と分断・媒介する前近代の「国境」/北の境界=「奥州外浜」と、中世日本屈指の港湾都市・十三湊/十三湊と安藤氏の盛衰/和人とアイヌが共存と対立を繰り返す蝦夷/さらに広大な北方世界という視点/南の境界=容易にはたどり着けない「九州鬼界島」/日本と琉球による争奪戦の歴史/アジアのなかの琉球(沖縄)
―――――
Ⅱ部「人」「階層」からみる〈いくつもの日本〉
第四章 朝廷と幕府―二大勢力の関係性をめぐる激しい学説論争
中世社会=分権性の高い世界/なぜ鎌倉幕府の成立年は確定できないのか/朝廷と幕府をめぐって対立するふたつの伝統的な学説/「東国国家論」ー幕府は朝廷から自立した政権/「権門体制論」ー通説に対する挑戦的な宣言/「権門」とは何を指すのか?/両者の激しい論争/評価が割れることの重要性
我われは「分裂と統合」のはざまに生きている/日本に過去、「分裂」の時期はあったのか/赤坂憲雄と網野善彦が提唱した「多様性」/「地域史・社会史」から「国家史・全体史」へ/双方とも欠かせない「ふたつの旋律」/なぜ「中世」に注目するのか/「現代との類似性」に迫る/「統合の核」の解明
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Ⅰ部「場」「地域」からみる〈いくつもの日本〉
第一章 東と西ーもっともポピュラーで根深い問題
現代でも意識される❝東西の差異❞/積みあげられてきた歴史・民俗学研究の成果/境界地域はどこにあるのか/古代の列島に衝撃をもたらした平将門の乱/鎌倉幕府の選択肢/室町期の知られざる東国世界/鎌倉府の位置づけをめぐって/日本の歴史を貫く東西論のその後
第二章 南と北―よりいっそう豊穣で、ときにカオスな場所
「東西」論から「南北」論へ/赤坂憲雄『東西/南北考』による問題提起/来訪神=「まれびと」の世界/「伝統」とは何か①「創られた伝統」という視点/「伝統」とは何か②伝統は変わらないのか?/南北に拡大していった「日本」の領域/武家政権の地方支配と御家人の移動/室町幕府と奥羽探題・九州探題/自立と服属を繰り返す「南北」の近代
第三章 内と外―時代によって揺れ動く「境界」の独自性
外の世界と分断・媒介する前近代の「国境」/北の境界=「奥州外浜」と、中世日本屈指の港湾都市・十三湊/十三湊と安藤氏の盛衰/和人とアイヌが共存と対立を繰り返す蝦夷/さらに広大な北方世界という視点/南の境界=容易にはたどり着けない「九州鬼界島」/日本と琉球による争奪戦の歴史/アジアのなかの琉球(沖縄)
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Ⅱ部「人」「階層」からみる〈いくつもの日本〉
第四章 朝廷と幕府―二大勢力の関係性をめぐる激しい学説論争
中世社会=分権性の高い世界/なぜ鎌倉幕府の成立年は確定できないのか/朝廷と幕府をめぐって対立するふたつの伝統的な学説/「東国国家論」ー幕府は朝廷から自立した政権/「権門体制論」ー通説に対する挑戦的な宣言/「権門」とは何を指すのか?/両者の激しい論争/評価が割れることの重要性
中世における寺社の存在感/鎌倉幕府の基幹は密教寺院?/中世宗教=「鎌倉仏教」ではない?/中心にあったのは「顕密仏教」/顕密体制に立脚する公家と武家/神仏習合した鶴岡八幡宮寺/「鎌倉仏教」はどこへいったのか?/信長との抗争で知られる「戦国仏教」とは?/「日本宗」とキリスト教
第六章 生業と身分―非農業的世界から見えてくる豊かな日本史
東大の入試問題から見えるもの/「瑞穂国幻想」を作り出した研究者と明治政府/「百姓=農民ではない」という強いメッセージ/中世の農業の比重は四割だった!?/実態から乖離した要因は何か?/中世の絵画史料に描かれた多元的な非農業的世界/『もののけ姫』との素晴らしき出会い/「非農業的世界」論への批判と、そのゆくえ
―――――
三部 多様な列島社会を「統合」するものは何か?
第七章 分裂と統合―両者の共存は可能なのか?
戦前の方言をめぐる論争に隠された「ふたつの旋律」/地域ごとに言葉が異なる—「方言区画論」/地方に行くほど古い方言が残る―「方言周圏論」/論争の核心は何か/最盛期を迎える「いくつもの日本」論―一九八〇~九〇年代頃/「一国民俗学」を超える試み/二十一世紀初頭に起きた「いくつもの日本」論の行き詰まり/「統合・統一」に重点を置く研究の増加ー二〇〇〇年代以降/新たなる「ひとつの日本」論へ
第8章 中央と地方ー首都の求心力はどこにあるのか
「都鄙雅俗」の観念/中世武士の姿から首都を考える/都鄙間をつなぐ武士たち/京都・鎌倉の存在感と求心力/「中央」の存在を軽視していなかった戦国大名/参勤交代・留守居役が果たした役割/首都のカ
第九章 天皇と将軍―戦国期にも存在しえた「価値」を探る
戦国期も中心に君臨しつづけた足利将軍/「力」「利益」「価値」—国家の成立要件たる三要素/戦国期の足利将軍と大名の関係にも当てはまるのか?/戦国大名にとってのふたつの「共通利益」/家中・領国内における「共通利益」/他大名との関係における「共通利益」/これまで盲点であった、足利将軍の「価値」/戦国期日本を覆う「足利的秩序」とは?/「共通利益」と「共通価値」を統合していた足利将軍/天皇の存在も「価値」から考える/一九九〇~二〇〇〇年代にかけて盛りあがる天皇研究/天皇がいまに存続し、将軍がすでに滅亡した理由の解明
終章 歴史から学べることは何か
これからの道行き/ひとつの事実、いくつもの解釈/「新しい中世」に進みつつあるそのなかで